全体的に審査基準が厳しめになりつつある

クレジットカード全体の傾向として注目しておきたいのが、全体的に新規発行時の審査基準が厳しめになりつつあるという事実です。

これまでのクレジットカードは審査が厳しいカードから、誰でも作れるといわれるほど審査の甘いカードまで、カード会社によって審査基準がバラバラでした。現在でも審査基準にばらつきがあるのは同じですが、大きな変化として審査基準が甘めとされてきたカードが厳しい審査を行う方向にシフトしてきています。

これまで審査を通過できていたような属性の人があっさりと審査落ちするケースも報告されており、選び方を間違えると楽勝と思われていたクレジットカードで、簡単に審査落ちする状況が生まれています。

楽天カードの厳格化が目立つ

これまでも厳しい審査基準を設けていたクレジットカードでは、審査にそれほど変化は見られません。変化が大きいのは審査が甘いとされてきたカードで、特に低年収でも作れるカードに関しては基準がかなり厳しくなっています。特に審査が厳格になってきているのが「楽天カード」です。

テレビコマーシャルでもおなじみの楽天カードは審査の甘さに定評があり、低年収の方やフリーターでも作れるカードとして、色々なところでオススメのクレジットカードとして紹介されてきました。

しかし、2014年頃から楽天カードは審査基準を厳格化する方向にシフトチェンジを行いました。これまでなら問題なくカードを発行できたような人たちからの審査落ち報告が出始め、もはや「審査に甘く誰でも作れる」ようなクレジットカードではなくなっています。

全体的に見れば、楽天カードの審査基準は甘めの部類に分類されますが、かつてのような楽勝カードではありません。明らかに属性が弱く信頼に欠けるような人が申し込めば、確実に審査落ちするのが楽天カードの現状です。

楽天カードの拡大路線からの転換

楽天カードの審査基準が厳しくなった理由として考えられるのが、拡大路線からの方針転換です。これまで楽天カードは会員数を増やし規模を拡大することを最優先課題として、会員獲得競争に力を入れてきました。

多少属性が弱くても審査基準を甘めにして会員数増を優先し、クレジットカード会社としての規模を拡大してきた楽天カードですが、ある程度の会員数を獲得してクレジットカード市場で確固たる立場を築くことに成功して以降は、明らかに拡大路線から安定路線にシフトチェンジしています。

楽天カードは楽天市場との連携を最大のセールスポイントにしてきたカードです。国内のネット通販市場がある程度安定したバランスでシェアが分配されつつある現在、リスクを抱えてまで楽天カード会員を増やすメリットはほぼありません。

楽天カードの最優先課題は会員数獲得による事業拡大ではなく、確保した会員からどうやって利益をあげるのかに移行しています。その結果として、厳格化した審査基準を通過できないような利益の見込めない属性の弱い人物は、申し込み段階で審査落ちしてしまう状況が生まれています。

古い情報を参考にするのは危険

楽天カード以外でも拡大路線からの方針転換が確認されているクレジットカードが増えています。審査が甘いという古い情報をうのみにしてクレジットカードを選ぶのは正しい選び方ではありません。クレジットカードの審査状況にも鮮度というものがあり、変化の激しいカード業界で古い情報を参考にするのは危険です。

クレジットカードの審査に落ちてしまったら、最低でも3カ月は新たな申し込みができなくなります。余計な時間を取られないためにも、最新の審査事情をチェックして申し込むカードを見つけるのが失敗しない選び方です。

独自の審査基準を持つカードが人気

最新のクレジットカード市場で注目を集めているのが、独自の審査基準を持つカードです。クレジットカードの審査は各カード会社が独自の基準に基づいて判断していますが、基本となる審査項目はほぼ同じで、基準設定のみに違いが見られました。

独自路線を重視するクレジットカード会社を中心に、他社とは明確に差別化された審査基準を採用するケースが見られます。独自の審査基準を持つカードは他社で審査落ちした人でも発行できる可能性が高く、属性を弱く見られがちな自営業の方を中心に人気を集めています。経営の不安定化が心配になりますが、独自の審査基準といっても決して審査が甘いわけでなく、リスクは従来の審査とほとんど変わりません。

消費者金融系カードで採用されている独自審査基準

独自の審査基準を用いるクレジットカードで目立つのが、消費者金融系の会社を母体とするカード会社です。消費者金融ではもともと独自の審査基準で貸し付けの判断を行っていましたが、クレジットカードの審査基準に消費者金融の審査基準を一部流用することで、精度の高さと迅速さを兼ね備えたカード審査を成立させています。

これまでの審査基準では、落とされてしまうような人でもカードを作れる可能性がありますが、決して審査が甘いわけではなく、独自の判断に基づいて信頼できると判断した人のみに会員資格を与えていました。事実として、審査基準の甘さが原因で経営が悪化したという話は聞かれず、独自の判断基準が公正で有用なものであることを証明しています。

ポイントの魅力はやや減少傾向

クレジットカードの魅力のひとつが、利用金額に応じて還元されるポイントプログラムです。現金払いをやめて支払いをクレジットカードに一本化することで、ポイントのメリットを最大限活かすようなテクニックは、賢い節約術としていろいろなメディアで紹介されていました。

クレジットカードのポイントプログラムは全体的に改悪が見られ、魅力は減少しています。特に改悪が目立つのがポイント還元率の低下で、2%以上の還元率だったカードが1%を下回る還元率まで低下するなど、一昔前まで利用できていたポイント還元を利用した節約術のメリットは明らかに少なくなっています。

高還元率なのはゴールド以上のカードのみに改悪された上に年会費も値上げ、というようなダブルパンチで改悪が行われているカードもあります。ポイントの魅力が消滅したわけではありませんが、かつてのように大量のポイント還元で年間数万円以上節約する、というやり方はかなり厳しくなっています。

二重取りのチェックが厳しくなっている

特に厳しいのが電子マネーへのチャージなどで複数のポイントを獲得する、いわゆるポイントの二重取りと呼ばれる行為です。一回の決済で複数のポイント付与が受けられる二重取りはクレジットカードを有効活用できる方法として重宝されてきました。ポイント二重取り目的で新規にクレジットカードを申し込む人も多く見られましたが、カード会社各社はポイント二重取りに厳しい対応をしています。

ポイント二重取りは制度の穴を突いた裏ワザのようなテクニックで、ルール違反ではありません。ただカード会社にとっては好ましくない行為であることは事実であり、新たなルールを設けて二重取りを禁止、もしくはメリットを低下させる方向に動いています。

特にメリットの大きかった電子マネーへのチャージを利用したポイント二重取りはほぼ壊滅状態で、どのクレジットカードでも精度の穴をついてポイントを大量獲得することは不可能なってしまいました。これからクレジットカードを選ぶなら、ポイント二重取り狙いはほとんど意味がありません。ポイントよりも利便性などを重視して選ぶのが正解です。

更新日:2021/04/10 9:21:15

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